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高粘度樹脂の塗布を安定させるには?装置・材料・環境の3方向から考える

工程改善のアドバイザーをしている杉浦です。
自動車部品メーカーの生産技術部で、シール材や接着剤を塗る工程を20年ほど担当していました。

粘度の高い樹脂の塗布量がぶれるとき、原因は装置・材料・環境の3つに分けると整理しやすくなります。

装置:エアで押すか、体積で量るか

エレクトロニクス実装学会誌のディスペンサの技術動向をまとめた解説(2004年)には、シリンジにエアをかけて押し出す方式で補正機能がない場合、残量が5mlから2mlに減ると吐出量が当初の約50%まで落ちた例が載っています。
一方、体積を量って押し出す容積計量式は、室温が4℃ほど変わっても吐出量が変わらなかったとされています。

押す力の問題もあります。
スリーボンドの技術資料(2007年)は、エア圧は一般に0.5MPa程度で、高粘度のシール剤では吐出能力が足りないとしています。

容積計量で高い圧力をかけられる例が、ナカリキッドコントロールのP-FLOWシリーズ Hタイプです。
ポンプ内の耐圧は19.6MPa、対応する粘度は1~1,050,000mPa·sです。
仕様は高粘度材料の塗布に対応したP-FLOW Hタイプの製品ページで確認できます。

材料:目に見えない気泡が量をずらす

容積計量式でも、泡が混ざれば泡の分だけ材料が足りなくなります。
高粘度の材料は泡が抜けにくいのが厄介です。

宮城県産業技術総合センターの研究報告(2019年)では、粘度200Pa·sのシリコーン材料を手で10分混ぜると、多くの気泡が混ざりました。
ミキサーで混ぜて泡が見えなくなった試料でも、真空に置くとかなりの気泡が出てきたそうです。

見直すところは次の3つです。

  • 混ぜたあと、真空で泡を抜いているか
  • 容器に詰め替えるときに空気を巻き込んでいないか
  • 泡が見えなくても、真空にかけて確かめたか

環境:寒い日の朝と夏の午後では材料が別物になる

寒地土木研究所の研究者による低温時の樹脂の粘度を測った論文(2023年度)では、エポキシ樹脂系の注入材が20℃で650mPa·s、5℃で3,060mPa·sでした。
15℃下がっただけで、約4.7倍です。

冬の朝の工場では、昼と同じ条件で塗っても量が変わって当然です。
温めて粘度を下げる方法もありますが、同じ論文は、エポキシ樹脂系は10℃上がると硬化速度が2倍になるという知見を紹介しています。
温めすぎれば使える時間が短くなるので、材料メーカーの推奨温度に収めるのが基本です。

まとめ

量がぶれる原因は1つとは限りません。
装置、材料、環境の順に確かめると、どこから手を付けるかが見えてきます。

方向起きること見直すところ
装置残量や粘度で量が変わる、押し切れない計量の方式、かけられる圧力
材料泡の分だけ量が足りなくなる脱泡の方法、詰め替えの手順
環境気温で粘度が何倍にも変わる室温の管理、加温する温度の上限

装置を替えるなら、自社の材料で試し打ちしてから決めるのが確実です。
テストルームを持つメーカーもあるので、材料と温度の条件を持ち込んで確かめてみてください。